1/16/2013

デジカメは「高画素数 = 画質が良い」じゃない


これは元々は俺のFacebookのページに思いついて書いた事なんだけど、なんとなく他の人にも読んでもらえる機会があればって思ったのと、せっかくこんなに長く書いたから取っておきたいって思ったからここにも載せとく。以下がその文章そのままです。



カメラ、写真を撮るのが好きな人に知っておいて欲しい事がある。それは「画素数」だけでは画質は決まらないという事。言い換えると、「高い画素数 = 画質が良い」って訳じゃないって事。興味があったら、もしくはカメラの知識があんまりなかったら読んでください。俺も知識がすごいあるって訳じゃないけど、カメラがちょっと好きなりに知ってる事を教えたいと思う。特にカメラとか写真を撮るのが好きだけどイマイチよく分からないとか、思ったように撮れないって人へ。

これはデジタルカメラ(デジタルビデオカメラ含め)の話だけど、デジタルカメラに関してはセンサー(レンズから入ってくる光を取り込んで「画像」として記録する部品)の大きさが大分関係してくる。もちろん、レンズの質、カメラ自体の性能も関係してくるけど。あとデジカメはプロセッサー(画像エンジンと呼ぶメーカーもある)、即ち画像を処理する部品の性能も大きく関係してくる。この部品の性能次第で、連写数だったりノイズの少なさ/多さとか、単純に「解像度」の良し悪しも決まってくる。

だから例えば同じ「1800万画素」のカメラでも、スマフォに付いてるカメラ(1800万画素のカメラ付きのスマフォがあるかは置いておいて)、コンパクトデジタルカメラ(通称コンデジ。最近流行りのミラーレスが出る前は、そして今もだろうけど、最も一般的な「デジカメ」。大体のやつが電源入れるとレンズがうぃーんって出てくるやつ)、一眼レフ/ミラーレス、そしてプロがスタジオとかで使ってる一眼レフカメラでは画質は違う。これは画像エンジンの能力とかレンズの質の違いもあるけど、まず画像センサーの大きさが違う。ここ(http://www.sony.jp/ichigan/products/NEX-5R/feature_1.html)を参照すると一般的なコンデジでは画像センサーの大きさは5.7x4.3mm。小指の先に乗るくらいだね。中間の2つのサイズのセンサーはどんなデジカメに一般的に使われてるか俺は知らないから飛ばすけど、比べてみて欲しいのがこのAPS-Cサイズと呼ばれるイメージセンサー。エントリークラスからミドルクラスの一眼レフやミラーレス一眼に一般的に使われてるもの。23.5x15.6mmだから、コンデジのイメージセンサーと比べると明らかに大きいよね。俺の指だと親指にちょうど乗るくらい。で、このAPS-Cサイズのセンサーより大きいのが、「フルサイズ」と呼ばれる35.8x23.9mmのイメージセンサー。そのまま35mmとも呼ばれる。これはプロ向けの一眼レフとかに積まれてるけど、Sonyは最近コンデジなのにフルサイズのセンサーを積んだカメラを発売したね (http://www.sony.jp/cyber-shot/products/DSC-RX1/)。20万円以上する。普通のコンデジが2万円あれば買えるから、10倍以上だね。

だから、上に書いた事を踏まえるとスマフォのカメラのイメージセンサーなんて、きっと「一般的なコンデジのイメージセンサー」となってる5.7x4.3mmのセンサーよりもっと小さいはず。レンズ自体もコンデジよりも小さいしね。でもセンサーのサイズは違えど、何千万画素とかがあるのは凄いと思う。これは確かに小さくて高画質の実現に貢献してるし。それに、「良い写真」ってのは単に画質だけじゃないしね。構図もそうだし、ライティングとかも写真を撮る上での大事な要素だし。センスとか技量も大きく関係する。きっとただプロ向けのカメラを持っただけの素人と、iPhoneのカメラを使ったプロでは、後者の方がきっと良い写真を撮れる。要は撮影者の腕次第。で、腕が上がってくるとやっぱり「こう撮りたい」って求める物も変わってくるから、それに合わせて撮れるようなカメラが必要になってくる。ただそれだけ。

話を戻して、まぁこれは単純に、センサーの大きさの違いとか知らなくても、高いカメラあるいは「ちゃんとした」カメラの方が画質が良い(良い写真が撮れる)ってのは分かるよね。だって、コンデジでも画素数が高いカメラはあるのに、写真が趣味の人とかプロはなんであんなでっかい、しかも値段も高いカメラを使ってるのかと。で、なんでイメージセンサーが大きいと画質が良いのかってのは、簡単に考えれば、センサーのサイズが大きいって事はその分取り込める光の絶対量が多いって事じゃん。簡単な説明にはなってないかな。

そして、画素数は同じとして、センサーの大きさが違うと画質以外にどんな違いがあるのか。それは色々あるけど、一つは光の感度。どういう事かと言うと、上に書いたように取り込める光の量(センサーが感じ取れる光の量)が多いから、暗いシーンでもより多くの光を取り込める。つまり、より明るく撮れるって事。光が殆どない部屋でも撮れるって訳じゃないけど、コンデジよりかは暗所に強くなる。でもこれも一概には言えなくて、イメージセンサーが、最近使ってる機種が多い裏面照射CMOS(イメージセンサーの種類)かそうじゃないか、裏面照射CMOSであるかないかに関わらずセンサーのピクセルごとの配置(一般的には赤青緑のイメージセンサーをピクセルごとに格子状に配置してるけど、例えばFujifilmのコンデジでは変わった配置をしてるセンサーを使ってるものがある。http://www.fujifilm.co.jp/rd/field/story/ccd/index02.html 曰く、人間の目の網膜に近い構造で、自然な画像になるのだとか)とか、あとはレンズの明るさ(F2.8みたいにF~~って表されてて、数字が小さい方が明るい。「レンズの明るさ」って意味が分からなければ、簡単に言えば良い素材で作ってる方が光の透過率が高いから、より光を取り込める = 明るくなる。ガラスのビー玉より水晶の方が綺麗な透明でしょ?)でも違うから、一眼レフ/ミラーレス一眼の方がコンデジより暗いシーンに強いって訳では必ずしもない。でも同じタイプのイメージセンサーなら、大きいセンサーの方が位シーンに強い。

他に、イメージセンサーが大きい事で変わってくる事としては焦点深度かな。ピントが合う深さ。原理は俺は知らないけど、イメージセンサーが大きい方がピントが合う浅さ/深さを変えられる幅が大きい。焦点の深度が浅い/深いってのがどういう事かと言うと、例えば点前の物にピントを合わして奥の物はぼかす(若しくはその逆)って事ができる。「焦点深度が浅い」ってのは、ピントが合う点(深さ)が狭いって事で、即ちピントが合ってる場所以外はボケる度合いが強い。逆に「焦点深度が深い」ってのは、ピントが合う点(深さ)が広いって事、即ちメインでピントを合わせた物以外でもボケが弱い。この性質を使うと、よくポートレート(人物写真)であるように、人にピントが合ってて背景はぼけてるってあるじゃん、ああいうのができる。これを上手く使うと「深み」とか「立体感」を持たせた写真が撮れる。葉に滴る雨粒を接写して、背景はボケてるみたいなのとかも。これがよく言われる、ミラーレス一眼/一眼レフの醍醐味とか面白さ。CMとかでもやってるじゃん、「ダイヤルを回して背景をぼかす」とか。

で、この焦点深度ってのは絞り(レンズ内にある「羽」の開き具合を変える事で、入ってくる光の量を多くしたり減らしたりする機能)と併用する事で変えられる。どういう事かと言うと、絞りを狭くする(光の入ってくる量を減らす)と、焦点深度が深くなる。絞りを広くする(光の入ってくる量を増やす)と、焦点深度が浅くなる。小学校の理科の授業で使った顕微鏡でもやったじゃん?ミジンコとか観察する時に。絞りを開けると焦点深度が浅くなるから、ミジンコの表面とか内蔵、それぞれピントが合ってる場所しかクッキリ見えない。絞りを絞ると焦点深度が深くなるからミジンコの表面と内蔵までもクッキリ見える。カメラの絞りもこれと同じ。

ただ、絞りを絞ると当然暗くなる。だから明るいレンズが必要。だからこういう、ボケを活かした写真を撮りたいなら明るいレンズが必要。でも明るいレンズは高い。ただそんなに明るくないレンズでも、コンデジと比べたら一眼レフ/ミラーレス一眼の可能な限りの絞りとレンズの明るさの調節で得られるボケは大分差がある。コンデジでもマニュアルの設定(ボタンとかダイヤルでMってなってるやつ)が出来るなら、Fの数値を出来るだけ小さく設定して、その分必要に応じてシャッタースピードを速くして(入ってくる光の量が多い状態でシャッタースピードが遅いとバカに明るくなっちゃうから)、撮りたい物を少しズームを効かせた状態で撮る(その分被写体から距離を置く必要も出てくるけど)と、多少ながら背景をぼかす事は出来るよ。やってみて。ズームにすると設定したF値が勝手に大きくなるかも知れないけど、それはその倍率では対応してない数値って事だから気にせずに。色々試してみると面白いかもね。

あともう一つ、イメージセンサーのサイズとは少し離れた話になるけど、デジカメでは写真を撮るに当たって大事な要素が、特に前述では言ってなかったけど3つあって、絞りとシャッタースピード以外にもう一つある。それはISOってもの。イメージセンサーの感度。ISOの値が大きい方が感度が強い。つまり暗所でもより明るい画像が撮れるって事。同じレンズ、絞り度合い、シャッタースピードで撮るとしたら、ISOの値が大きい方が明るく、小さい方が暗くなる。任意で選べる値としては大体100~3200とか、6400、場合によっては12800とか25600なんてのもある。オートに設定してればそのシーンのの明るさとか、絞りとシャッタースピードとかから妥当な数値を選んでくれるはず。ただ、暗い所ではISOを単純に上げれば良いって事ではなくて、ISOの数値を上げるとノイズが出てくる。機種によってだけど、3200以上でノイズが目立つとかかな。1600が妥当点ってのもある。だから、状況によって使い分けるしか無いんだけど、たとえば夜景とかの暗い風景みたいな動かない物を明るく撮りたいって時は、ISOはそんなに上げなくていいから、その分絞りを開くのとシャッタースピードを遅くすれば良い。暗いシーンで被写体が動く物でシャッタースピードを遅くするとぶれちゃうって場合は、多少のノイズは我慢してISOを上げれば良い。もちろん絞りはなるだけ開いて。

あとデジタルスチルカメラ(ここでは静止画用のカメラという事で敢えてそう呼ぶ)の話からちょっと逸れると、今は普通にデジタルビデオカメラでも高画質な画像が撮れる物が多い。「1600万画素」とか謳ってる機種もある。動画の解像度に関しては、現在で一般的に使われてる解像度ではフルハイビジョン(フルHD)と呼ばれる、1920x1080ピクセルの動画が最高解像度。映画業界とか、最近では一般的ではまだないにしろテレビでも4Kや2K(フルHDのぞれぞれ4倍、2倍の画質)ってのはあるけど、民生用のデジタルビデオカメラに求められてる画素数としては、1920x1080が充分であり最高解像度。ここで勘違いしないで欲しいのは、こういうデジタルビデオカメラでは画素数が高いほど良い画質の動画が撮れる訳ではないって事。どういう事かと言うと、「1600万画素」とか言ってるデジタルビデオカメラは、静止画がって事なの。動画の1920x1080ピクセルってのは画素数にすると約207万画素(1920x1080で)だから、動画を撮るだけなら207万画素(1920x1080ピクセル)分のイメージセンサーがあれば足りる。寧ろドットバイドット(イメージセンサーの1ピクセル分で、映し出す動画の1ピクセル分を記憶する)の方が良いから、1920x1080ピクセルのイメージセンサーが積まれてた方が良い。ドットバイドットの方が良いってのは、例えばハイビジョン放送(確か1440x1080ピクセル)をフルHD(1920x1080ピクセル)のテレビで見ると、「引き延ばして」画像を表示させてる事になる。放送が960x540ピクセルならフルHDテレビでは丁度倍だからテレビ側の4ピクセルで動画の1ピクセルを表示すればいいけど、ハイビジョン放送をフルHDのテレビで見るのは引き延ばすにも倍率が合わない。つまり変に補正されてる画素がある、本来はあるはずのピクセルの情報が消えてる、表示されてないって事。だから、これも一概には言えないんだろうけど、同じ性能のディスプレイだとしたら、再生する動画の画素数と同じピクセル数のディスプレイで充分であり、それがベストなはず。

もちろん、デジタルビデオカメラ一台で動画も写真も撮りたい人、そして写真はなるべく高画質で撮りたいっていう人はそういう高解像度の物を選べば良いんだと思う。ただ、動画がメインならドットバイドットで撮れるカメラが良い。CanonのHF G10とか。これはイメージセンサーが207万画素しかないけど、1920x1080ピクセルのイメージセンサーを積んでるから動画がドットバイドットで撮れる。そしてドッドバイドッドな分、1ピクセルごとのサイズが大きいから受光感度も高くなる。それは画質の良さと、暗所での強さに繋がる。その分静止画を撮る時ももちろん207万画素だから、今の時代にはなんともショボい画素数だけど。ま、動画はビデオカメラ、写真はスチルカメラで撮るのがベストだよ。餅は餅屋って事。

思いつく事書いてくとキリが無さそうだからこの辺にしとく!以上、ちょっと知識をひけら...ahem, 写真撮るの好きだけどよくカメラの事は分からないって人がいるかもと思って、出来る限りポイントを教えました。

読み返してみたら超なげー!笑

WebRep
currentVote
noRating
noWeight

No comments:

Post a Comment